補助金の補助上限額・補助率とは?ものづくり補助金を例に具体的に解説!

ものづくり補助金 基本要件 アイキャッチ画像

中小企業にとって、新たな設備の導入や基幹システムの刷新、それに応じた人材育成等は成長のカギとなりますが、当然ながら、自己資金だけでこうした投資を進めていくことは決して容易ではありません。そこで頼りになるのが、国や自治体が提供する各種補助金制度です。こうした補助金制度は、いまや中小企業の成長戦略を支える重要な支援策となっています。

特に近年は、デジタル化、省力化投資、カーボンニュートラルなど、政策の重点テーマに応じて様々な補助金が次々と公表されており、補助金を活用して設備投資や事業拡大を検討する企業にとって、これらの最新情報を注視しておくことは非常に重要なポイントになるかと思います。

これらの補助金制度を理解するうえで、理解しておかなければいけないのが、「補助上限額」、「補助率」という2つのキーワードです。当然ながら、補助金申請を検討するにあたっては、これらの情報を正確に理解したうえで、事業計画作成に着手することが非常に重要となります。しかし、残念ながらこれらの補助上限額、補助率について誤った理解をしてしまっている事業者様も時折見られます。

そこで本記事では、中小企業診断士として数多くの補助金支援を実践してきた経験を活かしつつ、実際のものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)の公募要領の内容も踏まえながら、補助金の補助上限額・補助率について解説を行います。

目次

補助金の補助上限額とは?

補助金の補助上限額とは、申請する事業者が受け取ることのできる補助金の最大金額を指します。これは補助制度ごとに必ず設定されており、最初に確認すべき重要なポイントのひとつです。例えば補助金額の補助上限額が3,000万円であれば、どんなに投資金額が大きい事業であっても、申請事業者は3,000万円以上の補助金を受け取ることはできません。

補助金の補助率とは?

一方で、補助金の補助率とは、投資金額に対して補助される金額の割合を意味します。言い換えれば、「事業に要する投資金額のうち、どこまでを国や自治体が負担してくれるのか」を示す指標です。

例えば先ほどの補助金上限額3,000万円の事業の補助率が1/2であった場合、事業に要する投資金額が3,000万円であれば、実際に補助金として受け取れる金額は1,500万円です。残りの1,500万円は自己資金や借入で賄う必要があります。補助率は、100%に近づけば近づくほど申請事業者の自己負担額が小さくなると言えます。補助金の内容によっては、補助率100%という補助事業もゼロではありませんが、基本的には1/2~3/4あたりの補助率が一般的と言えるでしょう。

補助金の補助率や上限額はどこで確認できる?

上記より、補助上限額と補助率を理解することは、補助金活用を考えるうえで絶対に欠かせないポイントです。さて、このような重要な情報は、いったいどこをみれば確認できるのでしょうか。

答えは非常にシンプルで、補助金の補助率や上限額は各種補助金の公式Webサイトや公募要領(募集要項という場合もあり)に書かれています

なお、同じ補助金であっても、申請枠、企業規模などによって補助率が異なる場合もありますし、年度ごとの政策方針等によって少しずつ条件が見直されることも多いため、過去の情報ではなく、必ず最新の公募要領を確認することが重要です。

ものづくり補助金公募要領を題材に補助上限額・補助率を具体的に紹介

ここまで補助金の補助上限額、補助率について詳しく解説してきました。それではここでは一例として、実際のものづくり補助金の公募要領を基に、具体的に補助上限額、補助率について解説したいと思います。本記事更新時点での最新回となる第21次締切のものづくり補助金の公募要領によると申請枠ごとの補助上限、補助率は以下の通りとなっています。

製品・サービス高付加価値化枠グローバル枠
要件革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化海外事業の実施による国内の生産性向上
補助上限額750万円~2,500万円3,000万円
補助率中小企業1/2、小規模・再生2/3中小企業1/2、小規模2/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領より抜粋

上記の補助上限額に加えて、大幅な賃上げの取り組みによる補助上限額最大1,000万円上乗せ措置の特例や、最低賃金引上げによる一律2/3までの補助率引上げの特例などが存在します。

単純化のため、ここでは大幅な賃上げや最低賃金引上げ等の要件は考慮せずに、製品・サービス高付加価値化枠に通常の申請枠内で申請する25名の中小企業であれば、補助上限額、補助率がどのようになるかを説明します。

このような中小企業の場合は、補助上限額2,500万円、補助率1/2となるため、投資対象経費が5,000万円以上の規模の事業に取り組む場合、上限額の2,500万円を申請することが可能となります。ただし、これはあくまでも補助上限額が2,500万円となるだけであり、その事業における投資額を5,000万円以内に収めなければいけないわけではありません。そのため、補助金獲得目的で、事業規模を必要以上に縮小させるといったことはしないようにしましょう。また、実際に必要な金額以上に大きな投資金額を申請することもできません。当然ながら、これから実施しようとする事業の実態に沿った申請を行うことが必要となります。

補助金の補助上限額・補助率に関する注意点

すべて消費税を抜いた金額を基準にして計算する

よく誤解されやすいことなのですが、ほとんどの補助金において、基本的に消費税は補助金の対象とはならず、自己負担する必要がありますので注意が必要です。前述したような、補助上限額・補助率は、事業に必要な経費のうち、消費税を除いた金額に対して適用されます。事業計画立案時や、経費見積を準備する際は、消費税を抜いた金額を意識しておくとよいでしょう。

事業計画には審査がある

雇用調整助成金等の助成金とは異なり、補助金は申請要件を満たした全ての事業者に、補助金が付与されるわけではありません。専門家審査員による事業計画の審査を経て、審査を通過した場合のみ採択を得ることができます。そのため、申請者間の競争の中で審査を通過できるような精度の高い事業計画書を作る必要があります。また、通常事業計画の提出締切から採択結果が発表されるまでは2~3か月程度の期間を要することほとんどであるため、十分に余裕を持ったスケジュール策定が必須となります。

事業計画採択=交付決定ではない

ものづくり補助金のような大きな金額が補助される補助金は、事業計画の採択と交付申請及び交付決定は異なるステップとして用意されていることが多くなっています。そのため、審査を通過して、事業計画が採択されたからといって、その後の申請作業を進めることができなければ、最終的に補助金を得ることができなくなってしまうため、注意が必要です。なお、補助金の交付申請については以下記事でも詳しく解説しておりますので、よろしければ本記事と併せてお読みください。

事業計画採択後に補助金額の増額はできない

こちらもよく誤解されやすいポイントですが、事業計画申請時に申請した補助金額が、補助金上限に達していない場合であっても、交付申請時に補助金額を増額することはできません。例えば上記で説明した25名の企業が、上限の2,500万円ではなく、2,000万円で補助金を申請した場合、後々追加資金が必要であることが発覚しても、交付申請時に改めて2,500万円を申請し直すことは原則できません。そのため、繰り返しとなりますが、事業計画書作成時点から金額精度の高い事業計画を作っておき、後々変更が発生してしまわないようにしておくことが重要です。

補助金申請は専門家への相談が無難

本記事では、補助金の補助上限額・補助率についてものづくり補助金の情報なども参考にしながら、解説してきました。

補助金は、中小企業にとって大きな成長のチャンスである一方で、金額が大きい分だけ競争率も非常に高いため、採択されるには、審査を通過できる緻密な事業計画書の作成を求められることが現実です。これらを自社だけで完結させることは決して容易ではなく、事業計画作成を熟知した専門的な知識と経験が必要です。

そのため、補助金申請を検討する際は、自社だけで完結しようとするのではなく、商工会議所や認定経営革新等支援機関などの専門家に相談することを強く推奨します。これらの専門家に相談することで、制度の最新情報を踏まえた適切なアドバイスを受けられるだけでなく、書類作成や採択に向けた戦略づくりを効率的に進めることができます。

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渥美コンサルティングは、補助金申請および実行サポートに豊富な実績を持つ認定経営革新等支援機関です。これまで数多くの中小企業の補助金申請をサポートしてきた経験から、補助金申請にあたっては提出用の事業計画の作成支援にとどまらず、経営課題の整理から事業計画のブラッシュアップ、採択後の実行支援まで一貫した伴走型サポートを行っています。補助金申請は書類の完成度だけでなく、企業の強みや将来性をどう伝えるかが大きなポイントです。当社では中小企業診断士として培った分析力・提案力を活かし、ヒアリングを通じて御社の強みを引き出し、それを補助金審査で評価されやすい形に落とし込む戦略を徹底して考えます。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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