先日2024年12月、令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)の資料が発表となりました。第18回締切を最後に新規の応募受付が始まっていなかったため、今回の発表を心待ちにしていた企業様も多かったのではないでしょうか。
今回のようなものづくり補助金に限らず、通常の補助金には補助上限額と補助率というものが定められています。補助金申請を検討するにあたっては、これらの情報を正確に理解したうえで、事業計画の作成に着手することが非常に重要となります。
そこで本記事では、ものづくり補助金の発表資料も踏まえながら、補助金の補助上限額・補助率について解説を行います。
補助金の補助上限額とは?
補助金の補助上限額とは、申請する事業者が取得できる最大の補助金額を指します。例えば補助金額の補助上限額が3,000万円であれば、どんなに補助対象経費が大きい事業であっても、申請事業者は3,000万円以上の補助金を受け取ることはできません。
補助金の補助率とは?
一方で、補助金の補助率とは、補助対象経費に対して補助される金額の割合を意味します。例えば先ほどの補助金上限額3,000万円の事業の補助率が1/2であった場合、事業に要する経費が3,000万円であれば、実際に補助金として受け取れる金額は1,500万円となります。補助率は、100%に近づけば近づくほど申請事業者の自己負担額が小さくなると言えます。補助金の内容によっては、補助率100%という補助事業もゼロではありませんが、基本的には1/2~3/4あたりの補助率が一般的と言えるでしょう。
ものづくり補助金の補助上限額・補助率を具体的に紹介
ここまで補助金の補助上限額、補助率について簡単に解説いたしました。それでは昨今発表された最新のものづくり補助金の資料では、補助上限額、補助率はどのようになっていたのでしょうか。昨今発表された資料によると申請枠ごとの補助上限、補助率は以下の通りとなりました。
製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | |
要件 | 革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化 | 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
補助上限額 | 750万円~2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | 中小企業1/2、小規模・再生2/3 | 中小企業1/2、小規模2/3 |
出典:令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金資料
第18次締切まで存在していた省力化枠という申請枠が他の補助金に一本化されたため、今回の発表では、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の2つのみとなりましたが、補助上限、補助率についての大きな変更は特にありませんでした。また製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額750~2,500万円の幅については、第18次締切までの条件が適用されるとすれば、申請企業の従業員数によって補助上限額が異なるものと想定されます。なお上記の補助上限に加えて、大幅な賃上げの取り組み有無によって補助上限額は最大1,000万円上乗せされます。
単純化のため、ここでは大幅な賃上げ等の要件は含めずに、製品・サービス高付加価値化枠に申請をする25名の中小企業であれば、補助上限額、補助率をどのように考えるべきかを紹介します。
このような中小企業の場合は、補助上限額2,500万円、補助率1/2となるため、投資対象経費が5,000万円以上の規模の事業に取り組む場合、上限額の2,500万円を申請することが可能となります。ただし、これはあくまでも補助上限額が2,500万円となるだけであり、その事業における投資額を5,000万円以内に収めなければいけないわけではありません。そのため、補助金獲得目的で、事業規模を必要以上に縮小させるといったことはしないようにしましょう。
補助金の補助上限額・補助率に関する注意点
すべて消費税を抜いた金額を基準にして計算する
よく誤解されやすいことなのですが、補助金において、基本的に消費税は補助金の対象とはならないため注意が必要です。そのため前述したような、補助上限額・補助率は、事業に必要な経費のうち、消費税を除いた金額に対して適用されます。事業計画立案時や、経費見積を準備する際は、消費税を抜いた金額を意識しておくとよいでしょう。
事業計画には審査がある
雇用調整助成金等の助成金とは異なり、補助金は申請要件を満たした全ての事業者に、補助金が付与されるわけではありません。専門家審査員による事業計画の審査を経て、審査を通過した場合のみ採択を得ることができます。通常事業計画の提出締切から採択結果が発表されるまでは2~3か月程度の期間を要するため、十分な余裕を持ったスケジュール策定が必須となります。
事業計画採択=交付決定ではない
ものづくり補助金のような大きな金額が補助される補助金は、事業計画の採択と交付申請及び交付決定は異なるステップとして用意されていることが多くなっています。そのため、審査を通過して、事業計画が採択されたからといって、その後の申請作業を進めることができなければ、最終的に補助金を得ることができなくなってしまうため、注意が必要です。
補助金申請は専門家への相談が無難
この記事では、補助金の補助上限額・補助率についてものづくり補助金の情報なども参考にしながら、解説してきました。補助金の申請は金額が大きいだけに、競争率も高く、高い事業計画作成のスキルが求められます。そのため、補助金申請を検討する際は、自社だけで完結しようとするのではなく、商工会議所や認定経営革新等支援機関などの専門家に相談することを推奨します。
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最後までお読みいただきありがとうございました。