先日、令和6年度補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)等の資料が発表されたことに加え、2025年1月10日(金)には事業再構築補助金第13回公募が開始されたことなど、補助金関連の情報が続いています。
補助金は、目的や金額によって細かい違いがあるものの、申請から入金まである程度共通の流れが存在しており、補助金申請を検討する事業者はこれらの流れを把握しておく必要があります。
この記事では、その流れの中でも、重要な手続きの1つである交付申請について解説したいと思います。
一般的な補助金申請の流れ
まず、補助金申請の一般的な流れを、事業再構築補助金 第12回補助事業の手引きに沿って説明いたします。
まずは、ここからです。事業計画作成に加えて、決算書等の応募にあたって必要な書類を集め、電子システム上で申請を行います。
専門家の審査を経て、事業計画が採択されると、このタイミングで発表となります。採択された事業者は速やかに交付申請の手続きに入る必要があります。
本日の記事のメインテーマとなる部分です。ここで改めて見積書、相見積書等を用意し、投資の仕様や価格の妥当性などがチェックされます。
交付申請が承認されると、いよいよ補助事業を開始することとなります。一部の例外を除き、この段階になって初めて投資への支払いができるようになります。
補助事業実施期間が終了したら、今度は実績報告となります。実績報告では、補助事業実施期間に購入した設備の設置状況や、設置後の効果などを報告します。
実績報告が認められると、投資経費の請求ができるようになります。
精算払請求から一定の期間後にようやく補助金が指定口座に入金されます。
上記以降は事業計画期間となります。応募申請時に提出した事業計画期間の分、定期的な事業化の報告が求められます。
応募申請と交付申請は異なる場合が多い
ものづくり補助金や事業再構築補助金等の比較的金額が大きい補助金事業の場合、応募申請と交付申請は別の手続きとなっていることがほとんどです。例えば、事業再構築補助金の公募要領では、以下のような記載がされております。
補助金交付候補者の採択結果は、事業計画に記載のある金額の全額に対して、補助金の交付決定を保証するものではありません。補助金交付候補者の採択後に「補助金交付申請」をしていただきます。その経費等の内容を事務局で補助対象経費として適切なものであるかどうかの精査を行います。精査の結果次第では、交付決定額が、応募申請時に計上している補助金申請額から減額または、全額対象外となる場合もあります。
出典:事業再構築補助金第13回公募要領 1ページ
例え、応募申請と交付申請が異なるということを知らない状態であっても、交付決定よりも前に委託業者との契約や投資経費の支払いなどをしてしまった場合は、補助の対象外となります。そのため、採択後の思わぬ失敗を防ぐためにも、補助金申請の業務において自社がどの段階にいるか明確に理解することが重要となります。
交付申請に必要な手続き
補助金の種類にもよりますが、交付申請では主に以下のような書類を準備したうえで、定められた方法で申請する必要があります。
- 見積依頼書
- 見積書
- 相見積書
- 経費明細表
- その他補助金や投資内容によって定められた書面
ほとんどの場合、交付申請はjGrantsと呼ばれる補助金の電子申請を行うためのシステムで実施します。例えば、事業再構築補助金やものづくり補助金など採択された補助金が異なっていても、jGrants上から当該補助金を検索して申請するというパターンが一般的です。
交付申請で知っておくべき知識
交付申請は、事業内容や投資内容に対して、補助金を与えるかを最終判断してもらうための非常に重要なステップです。ここでは交付申請を進めるにあたり知っておくべき知識をいくつか紹介します。
交付申請時点では契約や支払いは不可
前述した通り、交付申請の時点では、その企業に対して補助金を与えるかどうかはまだ決定されていません。そのため、事業計画書が採択されたからと言って、委託業者へすぐに発注したり、支払いをしてしまった場合、それらの費用は補助の対象外となってしまいます。すぐに事業を始めたい場合であっても、まずは交付申請に集中して取り組むようにしましょう。
なお、事業再構築補助金第13回公募においては、事前着手制度が廃止されたため、上記のルールの例外は存在しなくなっています。事業再構築補助金第13回公募における前回までとの変更点についてはこちらの記事でもまとめておりますので併せてご確認ください。
相見積書が必要
補助金の種類や金額の大きさにもよりますが、ほとんどの場合、金額の妥当性を示すために、通常の見積に加えて相見積の提出が必要となります。
例えば、事業再構築補助金の場合、見積額の合計が税抜き50万円以上になる場合、通常の見積に加えて必ず2社分以上の相見積を取得する必要があります。なお、開発に特殊な技術が必要等の理由で1社のみしか見積取得ができない場合は、業者選定理由書の提出が必須となります。
一度で交付決定に至るのは難しい
事業再構築補助金やものづくり補助金のような、応募申請と交付申請が別のステップとなっている補助金の場合、一度の交付申請で交付決定に至ることはほとんどありません。たいていの場合、何らかの書類不備の指摘とともに差戻を受けることとなり、その指摘内容に応じて書類の修正や追加が求められます。
交付申請で書類不備の指摘を受けたからと言って、事業内容が否定されているわけではありませんし、補助金の減額なども基本的にはありません。当然ながら、前述の通り、交付申請は、補助金を与えるかを最終判断してもらうための非常に重要なステップです。そのため、補助金交付の妥当性を判断するために、審査する事務局側も非常に慎重な審査を実施していることが予想されます。
これらの状況を踏まえると、交付決定に至るまで複数回のやりとりがあることを把握したうえで、早めに交付申請に着手することが望ましいと言えるでしょう。
交付申請手続きも支援機関のサポート内容に含まれる?
ここまで補助金の交付申請に関する情報を整理してきました。複雑な手続き内容を考慮すると、事業計画書の作成同様に、交付申請の手続きについても認定経営革新等支援機関などの専門家を活用して進める方がスムーズと言えるでしょう。
では交付申請の手続き支援は、一般的に支援機関のサービスに含まれているのでしょうか?
これについては、「支援機関によって異なる」というのが答えになります。事業計画書の作成支援とともに交付決定まで1回の契約で支援する機関もあれば、支援対象外または別料金で対応としている支援機関も存在しています。
そのため認定経営革新等支援機関などの専門家に相談するときは、契約を締結する前に、補助金申請の流れの中で、どのステップまでがサポート対象となっているかをしっかりと確認をするようにしましょう。
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以上、本記事では、補助金の交付申請に関する手続き、必要知識、支援機関のサポート範囲などについて解説をしてきました。補助金の交付申請を進める方にとって少しでも有益な情報提供となっておりましたら幸いです。
渥美コンサルティングは、事業再構築補助金やものづくり補助金の交付申請の経験が豊富な、認定経営革新等支援機関です。事業者様の所在地がどこであっても、オンライン会議ツール等を活用しながら支援することが可能です。補助金の応募申請時点での相談はもちろんのこと、交付申請支援のみの相談も承っております。
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(今回の記事内容についてのお問い合わせも、もちろん可能です)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。